更年期障害とは
閉経は、卵巣機能が次第に低下することで、永久的に月経が来ない状態を言います。
月経が12ヶ月以上来なかった場合、1年前を振り返って閉経とします。日本人における閉経年齢の平均は、約50歳とされています。
ただし個人差があり、早い方で40代前半に閉経を迎え、遅い人では50代後半に閉経を迎えます。
更年期には、女性ホルモンが大きく揺らぎながら減少することで、様々な症状が現れます。これを更年期症状と言い、ほかの疾患症状とは異なる症状を指します。
症状の程度も個人差があり、重い場合は日常生活に支障を及ぼすことがあります。これを「更年期障害」と言います。
女性ホルモンの低下に加えて、加齢による身体的因子、心理的因子、職場や家庭における社会的因子が複雑に影響することで発症します。
更年期障害に
なりやすい人の特徴
女性ホルモンの減少による揺らぎに加えて、環境によるストレスや性格なども大きく影響します。
特に、更年期障害になりやすい人の傾向としては、真面目・完璧主義・神経質・頑張り屋さんなど、仕事や子育てなどに一生懸命な方に多くみられます。
特に女性に多く、更年期は仕事、子育て、子どもの自立、介護など心身の負担を強いられる環境ストレスが多く、こうした環境下にいる女性は症状が重くなるとされています。
このような症状ありませんか?
セルフチェックしてみましょう!
- 息切れ・動悸がする
- 汗がよく出る
- 顔がほてる
- 頭痛やめまい・吐き気に襲われる
- 手足や腰が冷える
- 疲れやすい
- 肩凝り・手足の痛み・腰痛がある
- 怒りっぽい、すぐにイライラする
- 寝付きが悪い、眠りが浅く起きてしまう
- 憂鬱になったり、気力がなくなったりする
身体と心の更年期障害の症状
個人差がありますが、心身の不調が気になる場合は、そのまま放っておかずに平田レディースクリニックまでお気軽にご相談ください。
身体の症状
- 顔のほてり、発汗
- 手足の冷え、寒気
- 頭痛、肩凝り、腰痛
- 動悸、息切れ、胸痛
- 疲れやすい、慢性的な疲労感
- めまい
- 手足のこわばり
- むくみ
- 関節痛、筋肉痛
- 食欲低下
- 乾燥、肌のかさつき、痒み、湿疹
- 便秘や下痢
- 排尿障害
- 性交障害
心の症状
- すぐに怒る
- イライラしてしまう
- 涙もろくなる
- 気力や意欲低下
- 不安感に襲われる
- 不眠、寝付きが浅い、眠りが浅い
更年期障害の治療
問診や検査を行った結果や患者様のご要望に応じて、治療方針を患者様と一緒に決定していきます。
生活習慣の指導
食事習慣や運動習慣、睡眠など、生活習慣が崩れている場合は、これまでの生活習慣を改善していきます。
薬物療法
不安感や不眠などには、薬物療法によって日常生活への支障や負担を軽減していきます。
漢方療法
更年期障害の治療において、患者様のご要望に応じて漢方薬の処方を行う場合があります。
ホルモン補充療法
更年期に減少してしまう女性ホルモン(エストロゲン)を補充して、更年期症状の苦痛を軽減します。
その他、更年期以降に発症が増える骨粗鬆症や認知症の予防効果が期待できます。
更年期にならないように
気を付けるべき病気
閉経前後の更年期は、様々な疾患を発症するリスクが高くなる時期になります。さらに、閉経を迎えると大幅に気をつけるべき疾患が増えてしまいます。
更年期における心身のつらい症状を解消し、病気発症を避けるためにも、更年期のケアを行うことが大切です。
更年期でご注意いただきたい病気として、以下のようなものがあります。
高血圧・脂質異常症
女性ホルモンは、血管を柔軟に維持する作用があります。
また、内臓脂肪を分解する働きがあります。
閉経すると、女性ホルモンの分泌が低下し、動脈硬化や高血圧が急激に進んでしまいます。
これによって、中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL)が増加し、善玉コレステロールが減少する脂質異常症の発症リスクが高まります。
また、高血圧や脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進行するため、脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞など重篤な疾患を発症するリスクが高くなってしまいます。
骨粗しょう症
女性ホルモンには、骨代謝を正常に維持する働きがあります。
閉経を迎えると女性ホルモンの分泌量が低下するため、骨代謝も下がり骨量が減ってもろくなってしまう骨粗しょう症の発症リスクが高まります。
骨がもろくなると、骨折しやすくなるだけではなく、背中が曲がったり、身体の重みで骨折したり、背骨が潰れてしまうこともあります。
骨粗しょう症の発症予防のためには、定期的に骨密度測定検査を行い、骨量を把握して維持するような生活習慣を心がける必要があります。
加齢に伴う諸症状
加齢に伴って、ドライアイやドライマウスを起こしやすくなります。
特に、高齢の方のドライマウスは誤嚥しやすくなるため注意が必要です。また、皮膚や粘膜、腟が渇きやすいことから、感染リスクが高くなってしまいます。
また、消化器の蠕動運動機能の低下によって便通異常を起こすほか、骨盤底筋機能の低下によって尿漏れや過活動膀胱を起こしやすくなります。
また、出産回数が多い方は、性器脱を起こすことがあるため、更年期におけるケアを早めに行うことをおすすめしております。
更年期にできる予防・対策
栄養バランスの良い食事習慣
これまでの食事習慣の見直しを行います。
栄養のバランスが取れた食事を整えます。嗜好や習慣などで食事に偏りがある方は、主食3:副菜2:主菜1を目安に栄養を考えることをおすすめしております。
有酸素など適度な運動習慣
適度な運動習慣を継続することがおすすめです。
特に、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行うことで、更年期障害のつらい症状が軽減できるとされています。
そのほかには、ヨガ、サイクリング、バイクなども有酸素運動に相当します。
お好きな運動を見つけることで、更年期以降の病気発症リスクを下げることができます。
婦人科受診
「もしかして更年期障害かも…?」と気になっている方は、早めに婦人科を受診されることをおすすめしております。
知らず知らずのうちに日常生活に支障をおよぼしていることもあるため、つらい症状がある方は平田レディースクリニックまでお気軽にご相談ください。
市販医薬品・サプリメントの服用
サプリメントや市販医薬品にも、更年期症状に有効なものが多くあります。
おすすめのものをご案内させていただきますので、服用をご希望の方はお気軽にお申し出ください。
アロマテラピーなど香りでリラックス
更年期障害の症状改善に、エッセンシャルオイルによるアロマテラピーを補助的に利用するのもおすすめです。
アロマテラピーは、不眠やうつ症状、動悸、頻脈などのつらい症状改善に有効とされています。
お好きな香りでリラックスすることが、更年期障害の症状改善に繋がります。